KEY TAKEAWAYS(結論)
-
外国人社員トラブルは、労務問題が「入管法違反」「刑事事件」に転化するリスクを常に抱えている。
-
不法就労助長罪は、2025年改正後は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科可)」**という重い罰則であり、「知らなかった」では済まない。
-
採用・配置・日常のマネジメント・トラブル発生時の初動7日間で「やるべきこと/やってはいけないこと」をシステム化しておくことが、企業の最大の防御になる。
-
特定技能・技能実習・技人国など在留資格別に、「してはいけない不正行為(旅券・在留カードの預かり、報酬不払い、私生活の不当な制限など)」を現場まで徹底周知することが必須。
-
元警視としての「事件化させない初動対応」と、行政書士としての「在留・届出・書面設計」を一体で考えることで、トラブルを「相談」で終わらせる会社をつくることができる。
LEAD(導入:AI秘書3名の対話)
(広報・危機管理パラリーガル)
「外国人社員のトラブルって、一度SNSで炎上すると、企業名だけが独り歩きしてしまいますよね。『ハラスメント』『賃金未払い』『パスポートを取り上げられた』──たった1件の投稿から、ブランドイメージが一気に崩れるケースを何度も見てきました。」
(実務パラリーガル)
「しかも、外国人社員のトラブルは労務+入管+刑事が絡むので、総務や現場の管理職だけで抱え込むのは危険です。採用時の在留カード確認、就労資格と業務内容の整合性、トラブル発生時の証拠保全……。現場で迷わない『初動マニュアル』が必要ですね。」
(法務・戦略パラリーガル)
「はい。特に2025年の改正で、不法就労助長罪の罰則は懲役5年以下・罰金500万円以下・併科可と大幅に引き上げられました。
さらに、特定技能・技能実習などでは、旅券や在留カードを取り上げたり、報酬を支払わなかったりする行為が『不正行為』として受入れ停止等の制裁対象になります。
本記事では、元警視×行政書士として、トラブルを事件化させないための初動対応フレームを整理します。」

TOP5_GAPS_TABLE(他サイトとの差分)
| No | 一般的な解説サイトに多い内容 | 本記事で追加するInformation Gain(差分) |
|---|---|---|
| 1 | 不法就労助長罪の条文紹介だけ | 2025年改正後の罰則(懲役5年・罰金500万円・併科可)の実務的な意味と「企業の初動」の具体化 |
| 2 | 在留資格の種類説明が中心 | 「業務内容と在留資格のミスマッチ」がトラブル時にどう問題化するかを、現場ヒアリング観点で整理 |
| 3 | 労基法の一般論 | 「国籍による差別的取扱い禁止」「日本人と同等以上の報酬」のポイントを、入管審査との関係で解説 |
| 4 | 特定技能・技能実習制度の概要 | 旅券・在留カード保管、報酬不払い、私生活の不当な制限など、具体的な不正行為パターンと制裁リスクを整理 |
| 5 | 届出義務の説明のみ | 「所属機関等に関する届出(14日以内)」の実務運用と、トラブル時に企業が外国人本人へどう声かけするかのフレーズ例 |
根拠ボックス(法令・一次情報)
-
出入国管理及び難民認定法(不法就労助長罪の罰則強化:懲役5年以下・罰金500万円以下・併科可)
-
発行主体:法務省
-
参考解説:不法就労助長罪の法定刑に関する解説記事(2025年改正を反映)
-
-
特定技能外国人受入れに関する運用要領(旅券・在留カード保管禁止、報酬不払い等の不正行為)
-
発行主体:出入国在留管理庁
-
公開日:2025年4月1日版 等
-
-
技能実習法に基づく不正行為・罰則(旅券等保管罪、技能実習強制罪ほか)
-
発行主体:出入国在留管理庁、厚生労働省 等
-
-
外国人労働者の雇用管理の改善等に関する指針(均等待遇・適切な待遇の確保)
-
発行主体:厚生労働省
-
告示:平成十九年告示第二百七十六号(最新PDF更新あり)
-
-
所属機関等に関する届出(転職・退職等から14日以内の届出義務)
-
発行主体:出入国在留管理庁
-
参考解説:所属機関等に関する届出Q&A・各種ガイド
-
E-E-A-Tブロック(たてかわ行政書士事務所のプロフィール)
-
Experience(経験)
-
元神奈川県警 警視(交通・防犯等)としての在職経験:○○年
-
行政書士として、在留資格・外国人雇用・風営許可・危機管理等の相談対応:通算○○件(2025年○月時点・匿名集計)
-
地域防犯・交通安全・自治会等での講演・研修実績:年間○〜○回ペース
-
-
Expertise(専門性)
-
行政書士(在留資格・許認可・契約・相続)
-
危機管理・防犯講師(元警視の現場経験に基づく研修)
-
企業顧問としての外国人雇用コンプライアンス支援
-
-
Authoritativeness(権威性)
-
行政書士会、自治体、企業・団体からの研修・講演依頼実績
-
地域の観光協会・自治会・社協などでの役職・活動実績
-
-
Trustworthiness(信頼性)
-
法令・公的資料を一次情報として引用し、記事内で発行主体・更新日を明示
-
非弁ガードを徹底し、個別具体的な紛争案件については弁護士への相談を案内
-
(※実際の数値は、先生の最新実績に合わせて更新してください)
第1章 潜在リスク:元警察官が見抜く法的「死角」
1-1 「労務トラブル」から「入管法違反」「刑事事件」へ
外国人社員のトラブルは、最初は次のようなよくある相談から始まります。
-
残業代が支払われない
-
上司からの言動がハラスメントだと感じる
-
寮や社宅での私生活を過度に干渉されている
-
パスポートや在留カードを会社に預けるよう求められた
しかし、これらの背景には、
-
在留資格と実際の業務内容のミスマッチ
-
労働条件の不利益変更や説明不足
-
旅券・在留カードの保管、報酬の不払い、私生活の不当な制限 など
が潜んでいることが多く、入管法違反や技能実習・特定技能の不正行為として処分対象になる可能性があります。
1-2 不法就労助長罪の厳罰化と「知らなかった」では済まない現場
2025年の改正により、不法就労助長罪の法定刑は懲役5年以下または500万円以下の罰金、またはその併科とされ、企業・経営者にとってのリスクは大幅に高まりました。
-
在留資格を確認しなかった
-
就労制限のある在留カードの裏面を見ていなかった
-
単純労働をさせてはいけない在留資格であることを、誰も把握していなかった
といった**「チェック不足」「管理体制の不備」**も、結果的には「不法就労を助長した」と評価される余地があります。
元警察官の感覚でいえば、
「故意がなければ大丈夫」ではなく、
「問題が顕在化した時に、組織として何をしていたか」が厳しく見られる
というイメージです。
1-3 「国籍による差別的取扱い」が見えにくい理由
厚生労働省の指針では、事業主は国籍を理由として賃金や労働条件で差別的取扱いをしてはならないと明記されています。
しかし現場では、
-
日本人より低い賃金設定が「なんとなくの慣習」として続いている
-
「外国人だから仕方ない」として、長時間労働や休日出勤が常態化している
といったグレーゾーンが放置されがちです。
この状態でトラブルが起きると、労基署・入管・警察の三方向から同時にチェックを受ける事態に発展し得ます。
第2章 採用時に必ず押さえておくべき3つのポイント
2-1 在留カード原本・裏面の確認
採用時には、必ず在留カードの原本を、表裏ともに確認します。
-
在留資格の種類(例:技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など)
-
在留期間の満了日
-
就労制限の有無(「就労不可」「指定書による」「資格外活動許可」など)
をチェックし、記録(コピーやシステム登録)を残しておきます。
※コピーの取扱いについては、個人情報保護・社内規程との整合を図りながら運用してください。
2-2 業務内容と在留資格の「適合性チェック」
「技術・人文知識・国際業務」などの専門的在留資格を持つ社員に、
-
工場の単純ライン作業
-
清掃のみ
-
倉庫内の仕分け作業のみ
といった単純労働を主たる業務として常態的に行わせることは、
在留資格の該当性を欠き、更新時や在留資格変更時に不許可・取消しの要因となります。
-
職務記述書(ジョブディスクリプション)
-
雇用契約書
-
実際のシフト表・作業指示書
を照らし合わせ、「専門性を要する業務が主たる内容になっているか」を定期的に確認する必要があります。
2-3 就労資格証明書・所属機関等に関する届出
-
転職・配置転換等で業務内容が大きく変わる場合:
→ 就労資格証明書の取得を検討し、入管に業務内容の適法性を確認しておく。 -
契約終了・転職・退職等があった場合:
→ 外国人本人は14日以内に「所属機関等に関する届出」を入管へ行う義務があるため、会社側からも周知・支援を行う。
第3章 トラブル発生時:7日間の初動対応フレーム
3-1 NG行動を即時ストップ
トラブルの申告を受けた時点で、次のような行為が行われていないかを確認し、もし該当する場合は即時中止・是正します。
-
旅券・在留カード・銀行通帳などを会社で保管している
-
寮や社宅からの外出を不当に制限している
-
報酬の一部・全部を支払っていない、あるいは不当に天引きしている
-
暴言・暴行・監禁に近い対応が行われている
これらは、特定技能や技能実習では「不正行為」として受入れ停止等の対象となり得る重大な問題です。
3-2 事実関係の聴取と証拠保全
初動7日間で行うべき基本ステップは、次の4つです。
-
本人からの聴き取り
-
いつから、どのような行為が行われているか
-
誰が、どの場所で、どの頻度で行っているか
-
-
関係者からの聴き取り
-
直属の上司、同僚、人事担当者などからの客観的情報
-
-
証拠の確保
-
タイムカード、勤怠データ、給与明細、チャット・メール履歴、防犯カメラ映像など
-
-
記録化
-
面談メモを作成し、日付・場所・出席者を明記
-
この段階では、「結論を急いで謝罪すること」よりも「事実を正確に把握すること」が重要です。
3-3 外部専門家への早期相談
-
在留資格・届出・書面設計:申請取次行政書士
-
労務管理・就業規則・社内制度:社会保険労務士
-
紛争性が高い案件(損害賠償請求・刑事事件化の可能性がある等):弁護士
という役割分担を意識し、トラブルの初動段階で早期に相談することが、後戻りできない事態を防ぎます。
第4章 外国人雇用コンプライアンス・チェックリスト
4-1 平時の予防チェック
| 段階 | No | 必須アクション | 目的・根拠 | 担当 |
|---|---|---|---|---|
| 平時 | 1 | 採用時の在留カード原本・裏面確認 | 不法就労助長罪の回避、就労制限の把握 | 人事 |
| 平時 | 2 | 在留資格ごとの「できる業務・できない業務」一覧を作成 | 現場管理者が一目で判断できる状態にする | 人事+現場 |
| 平時 | 3 | 賃金・労働条件の「日本人との均等待遇」チェック | 国籍を理由とする差別的取扱いを防止 | 人事+経理 |
| 平時 | 4 | 特定技能・技能実習の「不正行為」禁止ルールの社内研修 | 旅券・在留カードの預かり、報酬不払い、私生活制限などを禁止 | 経営層+管理職 |
| 平時 | 5 | 所属機関等に関する届出(14日以内)の周知 | 転職・退職時の届出漏れによる在留不許可リスクを防止 | 人事 |
4-2 トラブル発生時の初動チェック
| 段階 | No | 必須アクション | 期限の目安 | 担当 |
|---|---|---|---|---|
| 緊急 | 6 | NG行動(旅券・在留カード保管、報酬不払い、暴言・暴行等)の有無を確認し、即時停止 | 申告当日〜翌日 | 管理職+人事 |
| 緊急 | 7 | 本人・関係者からの聴き取りと記録化 | 7日以内 | 人事+総務 |
| 緊急 | 8 | 証拠保全(勤怠・給与・チャットログ等) | 7日以内 | 情報システム+人事 |
| 緊急 | 9 | 行政書士・社労士・弁護士等への初動相談 | 3日以内を目安 | 経営層 |
| 緊急 | 10 | 再発防止策(配置転換、就業規則見直し、研修)を検討し、本人へ説明 | 1〜3か月以内 | 経営層+人事 |
FAQ(よくある質問)
Q1. 外国人社員の在留カードは、会社で預かっても良いですか?
A. 原則として預かってはいけません。
特定技能・技能実習等では、旅券や在留カードの保管は「不正行為」として受入れ停止等の対象となり得る重大な問題です。
本人の意思に反する保管はもちろん、本人が希望している形であっても、トラブルの火種になるため避けるべきです。
Q2. 技人国の社員に、繁忙期だけ工場ライン作業をさせるのは大丈夫ですか?
A. 一時的な応援レベルであれば、直ちに違法とまでは言えないケースもありますが、
それが主たる業務になっている場合は、在留資格の該当性を欠くリスクが高まります。
-
どの程度の頻度・期間か
-
本来の専門業務が十分に確保されているか
を整理し、不安がある場合は行政書士に相談の上、就労資格証明書の取得や業務内容の見直しを検討してください。
Q3. 外国人社員が退職した後の「14日以内の届出」は、会社が出すのですか?
A. 所属機関等に関する届出は、原則として外国人本人の義務です。
ただし、企業側も
-
退職手続きの際に届出義務を説明する
-
必要に応じて書式や記載例を案内する
などの形でサポートすることが望ましいです。
Q4. トラブルが起きた場合、最初に相談すべき専門家は誰ですか?
A. 事案の内容によりますが、一般的には、
-
在留資格・届出・申請書類に関わる部分:申請取次行政書士
-
労務管理・就業規則・ハラスメント防止:社会保険労務士
-
損害賠償請求・刑事事件化など紛争性の高い案件:弁護士
という役割分担が基本です。
当事務所では、必要に応じて他士業と連携しながら、初動対応の整理をお手伝いします。
CTA(行動喚起)
-
「この業務をさせても大丈夫か不安だ」
-
「トラブルが起きたが、入管や警察の問題に発展しないか心配だ」
-
「特定技能・技能実習・技人国を受け入れているが、社内ルールが追いついていない」
こうした不安をお持ちの企業・担当者の方は、
元警視×行政書士による『外国人雇用リスクの初回診断(オンライン可)』をご活用ください。
-
現在の受入れ体制・就業実態のヒアリング
-
在留資格と業務内容の整合性チェックの観点整理
-
社内マニュアル・研修項目のたたき台のご提案
※初回相談は、契約を強制するものではありません。
状況を整理した上で、「自社だけで対応できるか」「専門家と連携すべきか」を一緒に検討していきましょう。
免責・非弁ガード
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な案件についての法的助言・許可取得の保証を行うものではありません。
特に、紛争性の高い事案や損害賠償・刑事事件等が関係する可能性のある事案については、
必ず弁護士または関係専門家にご相談ください。